ファントム・オブ・パラダイス

ファントム・オブ・パラダイス

現在巷ではミュージカルの古典「オペラ座の怪人」のリメイクが公開されている。
普段はあまりミュージカルなど見ないという人でも、この作品からミュージカルを見てみようと思った人もいるのではないだろうか?
そこで今回は、そんなミュージカル映画の中でも少し異色の作品をご紹介。
題名は「ファントム・オブ・パラダイス」!!
1974年アメリカ/監督:ブライアン・デ・パルマ/出演;ポール・ウィリアムズ、ウィリアム・フィンレイ、ジェシカ・ハーパー他/音楽:ポール・ウィリアムズ/カラー、94分
あらすじ:内気だが天才的なロック・アーティストであるウィンズロー・リーチ。しかし、彼の作曲していた組曲“ロック版ファウスト”を、謎のカリスマ・ロック・プロデューサー、スワンに盗まれ、そのうえ無実の罪で投獄されてしまう。
その事に激怒したウィンズローは刑務所を脱獄、レコードのプレス工場に忍び込むも、誤ってプレス機に顔の半分を押しつぶされてしまう。
かくして二目と見られない姿となったウィンズローは仮面を被り、スワンの音楽宮殿“パラダイス”を徘徊するのだが…。
と、言うのが大まかなストーリー。題名、そしてあらすじを読んでお気づきだろうが、「オペラ座の怪人」をロック・ミュージカル風にアレンジしたものである。
ミュージカルの傑作といえば「チキ・チキ・バン・バン」「サウンド・オブ・ミュージック雨に唄えば」「ウェストサイド物語」「王様と私」等、また音楽を題材にしたもので言えば「シャイン」「天使にラブ・ソングを」「陽のあたる教室」「ミュージック・オブ・ハート」「スクール・オブ・ロック」等々挙げていったらきりが無いが、この作品もそれらと比較しても全く引けを取らない出来をしている。
まず最初にあげられるのは、怪人となったウィンズロー。生前(?)はなんともパッとしないような男だったのに、怪人になった途端になぜか物凄く格好良く見える。
マスクは少々「…」な感じもするが、全身黒ずくめ、エフェクトのかかった声、マスクの下から覗かせる深紅の唇や銀歯(なぜ銀歯かはご自分でお確かめあれ)等、ものすごくクールである。
また、ヒロインのジェシカ・ハーパーも美人であり、歌の方も結構良い。
カルト的な人気を誇るデ・パルマだけあって、今回も被写体を他方向から写し、画面を二分割して見せるという芸当も健在。また「サイコ」のオマージュも盛り込まれているので、見ていて飽きない。
そして、一番の目玉は、本作品を縁取る楽曲の素晴らしさ!
これらは全て、音楽担当であり、また本編にも“スワン”役で出演しているポール・ウィリアムズによるもの。
特に、エンド・ロールで流れる楽曲の素晴らしさといったらとても言葉では言い表せない(かなり物凄いこと言っているがw)
この映画が与えた影響はかなりのもので、レッド・ツェッペリンルパン三世なんかもその影響を受けているそうだ
オペラ座の怪人」(04)もなかなか良い作品だが、個人的にはこちらの方が遥かに素晴らしいと思う(あくまで個人的な意見だが)。
たまには、こうしたカルトの名作なんか如何でしょう?