アンドロメダ…

アンドロメダ…

時代が進むにつれて、特撮の技術もどんどん進化していっている。
特に近年のSF映画のそれは目を見張るものがあり、今年などは「スター・ウォーズ」の最終章や「宇宙戦争」などが続々公開され、そのどこまでもリアルな映像に誰もが感心したであろう。
しかし、ここで一つ疑問になることがある。そうした技術面ばかりが発達しているが、果たして、それ=素晴らしい作品という事なのだろうか?
そこで今回は、SF映画でありながらそうしたVFX殆ど使われていない作品を紹介しよう。
題名は「アンドロメダ…」!!
1971年アメリカ/製作・監督:ロバート・ワイズ/出演:アーサー・ヒル、デヴィッド・ウェイン、ジェームズ・オルソン、ケイト・レイド他/原作:マイケル・クライトン/カラー・130分
あらすじ:ニューメキシコのある町に人工衛星が落下。その町では、アル中の老人と赤ん坊を残して死滅。被害者は皆血液が粉末状にないって死亡していたのである。
派遣された4人の科学者たちは“それ”が人工衛星によってもたらされたものと確信し、地下に建設された研究所で事態の解決に取り組むのだが…。
というのが大まかなストーリー。判るとは思うがSPEED主演の映画ではない(そっちは「アンドロメディア」だ)。
あらすじにも書いたとおり、劇中の殆どが地下研究所での話である。したがってこの作品はエイリアンとの血沸き肉踊る死闘や美男美女の恋愛模様などは一切登場しない。
「じゃあ全然面白くねぇじゃねぇかよッ!!」などと言ってはいけない。そこは名匠ロバート・ワイズのなせる業、普通の映画とは訳が違うのである。
本作の描写は淡々としているのだが、それが故に、あたかもドキュメンタリー映画を見ているような、実にリアルな緊張感を味わう事が出来るのである。
様々な実験を繰り返し、次第に明らかになっていく“アンドロメダ”の正体。そのサスペンス部分の描写も実に秀逸で、時間が経つのを忘れてしまうほどである。
勿論、人によっては好みが分かれる作品ではあると思うが、一度見ておいて損はないSF映画の傑作映画である。