吸血鬼ドラキュラ

古典ホラーの名作中の名作。
名前の方が有名になりすぎて、殆どの人が「ドラキュラ」の名前を聞いた事があるだろうが、実際に詳しく知っている人って最近じゃあんまりいないような気がする。
まず、本書はすべて登場人物の手記、新聞の切り抜き等で構成されているという実に面白いつくりになっている。
訳した人がかなりの高齢の方なので、読んでいると時たま「え?」と思うような表現も出てくるのだが、作品自体は実に面白い。
しかしながら、そんな事よりも、伯爵強すぎッ!
怪力の持ち主、動きが速い、狼、蝙蝠、霧に変身出来るのは勿論、自分より身分の低いもの(要は鼠や狼などの動物類)を僕にしたり天候まで操ってしまうとは…
そして、吸血鬼の弱点といえば十字架、ニンニク、太陽等。
神の吐息のかかったもの(聖餅とか)は嫌がる。しかし伯爵、確かに太陽はお嫌いだが真昼間から出歩いてます。(日中は魔力が効かなくなるだけで灰になったりはしない)
というように、圧倒的な存在感を誇る伯爵だが、決して本作は伯爵を格好よく描いてはいない。
というのも、本作はどんな状況でも全力を尽くし強大なものへと立ち向かっていく者達を描いた人間賛歌だからである。
どうして100年以上も経った今でも映画になるのか、そのわけが、少し判った気がする。