Crimson Pig

飛んでいようが豚は豚だ。
と、開口一番言ってみる。今日は察しのとおり「紅の豚
最近の作品群がどこと無く「自然との共存」だとか「思春期の少女の成長」だとかっていう妙に深いテーマだったのに対し、この頃の作品は結構単純なつくりだったんだなぁと思う。
しかし、それ以上に、この作品からは他の宮崎作品とは違う雰囲気を放っているように思えるのである。
なんたって、主人公の“豚”が格好良い。外見とかじゃなくて、その生き様、心意気が格好良いのである。他の作品はともかく、この作品に限っては実写で映画化してもなんら問題ないくらいのストーリーの精度を持っている、と個人的には思う。
それ以外では、やっぱり絵は良く動き、場面場面を彩る音楽も良い。それに、さり気なく会話に盛り込まれたユーモアもなかなか良い。
さて、褒めてばかりもアレなので、欠点と言うか、マイナス点も少し。他の作品にもいえることなのだが、やはり今回も“どっかで見たことがある”キャラクターが登場するのである。トレードマークというか、ポリシーなのかもしれないが、こう頻繁に出てくると、「使いまわし?」と思いたくなってしまう(実際のところはどうなのかは良く知らないが)。
が、逆を言えば、どのキャラも親しみなれたキャラクターであり、すんなり物語りに入れる、という利点も持っていることになる。
比較的、あらゆる年齢層に支持される宮崎映画であるが、その中で本作は少し違った面白さを持っているのかもしれない。勿論、小さな子供が見ても充分楽しめる作品だが、やはり、この作品のダンディズムは、ある程度大きくなってからでないと判らないだろう。
最後に、この作品について一言。
カッコいいってのは、こういうことさ。