呪われた町

いいかげんに書いておこう。
現代を代表するホラー作家、スティーヴン・キングの代表作として知られる小説である。
本人曰く、「吸血鬼ドラキュラの文学的イミテーション」らしく、確かに吸血鬼の親玉のことを「伯爵様」と呼んだり、エクソシスト集団のブレイン(マット先生)を「ヴァン・ヘルシング教授のようだ」といってみたりしている。しかし吸血鬼集団の方は流石に本家本元の伯爵のようにめちゃくちゃ強いわけではなく、煙になったり宙に浮いたりはできるが太陽にあたれば勿論死んでしまうし、動物を操るような事も天候を操る事もできない(一般的に知られている吸血鬼像というべきか)。
話の展開としては、どこにでもあるような田舎町にある日吸血鬼がやってきて、知らず知らずのうちに吸血鬼で溢れ…といったストーリー。
一つの町が徐々に邪悪な存在によって崩壊していく様をじっくりと書き綴っているのは面白いが、訳の所為なのかもともとの原文がそうなのかわからんけど、途中普通の文体からいきなり説明文のような文体に切り替わってしまうのには違和感を感じた。
読んだ感想として、一つの小説としては長い部類に入るのだが、もう少しじっくりと事のあらましを描いて欲しかった事、最後の方にいくにつれて何のために戦うかという事が段々わからなくなっていくところが少々残念に思ったのだが、途中吸血鬼の親玉(バーロー)にアメリカ人の本質とやらを言わせているところはなかなか面白いと思った。
その昔、「悪魔のいけにえ」で有名なトビー・フーパーが映画化して(死霊伝説)、更に最近でも再びリメイク(死霊伝説 セーラムズ・ロット)されている本作だが、どうしても映画版では描ききれていない部分というものがあるので、「あの部分は一体どうなったんだ?」とか「結局ヒュービー・マーステンとバーローってどんな関係だったんだ?」と思った方は原作を読むことをお薦めする。