ハウス・オブ・ブラッド

スプラッタ界においてもドイツという国は非常に特異な存在である。
その完成されたグロさとモラル云々を超越した題材を真っ向から料理した悪名高き「ネクロマンティック」をはじめとして、ドイツの残虐表現はもはやビョーキなんではないか?と思わせるものがいくつもあるのである。
さて、そんなドイツ三大鬼畜監督を挙げよ、と言えば、大体の好事家たちは、先ほどのネクロマンティックで有名なユルグ・ブットゲライト、「悪魔のえじき」シリーズで有名なアンドレアス・シュナース、そして、ビデオ映画「バーニング・ムーン」で考えられる限りの残虐描写をこれでもかッこれでもかッ!!と見せつけ、世界中のスプラッタ・ファンをゲンナリさせたオラフ・イッテンバッハではないかと思う。
さて本日は、そのイッテンバッハの作品、ハウス・オブ・ブラッド。
有刺鉄線で縛られた死体のパッケージで見るからに“痛そう”な雰囲気を出しているあれである。
冒頭、衝突する2台の車。
一台は囚人護送車。アーサー率いる仲良し4人組は「逃亡者」よろしきここぞとばかりに脱出するが、生き残っていた警官に襲撃され、、アーサーの弟、スペンスが重傷を負う。
一方、もう一台のほうはというと、これから仕事へ向かおうとしていた医師・マドセンが乗っていた。
アーサーたちはこれは使えるッ!!とばかりにマドセンを拉致って森へと逃亡。
ジャイアニズムを発揮したアーサーのせいで診療鞄を川底へと落とすという、実に些細な事件が起こりながらも一行は森の中を歩き続ける。
すると、まさにホラーの定番ともいうべき霧がどこからともなく立ちこめてきて、一行はちょっとだけためらいながらも先に進む。
するとどうだろう。見るからに怪しそうでぼろっちい山小屋を発見した。
家の前には女が一人、家畜の血を採っていた。しかも、なんかわからない黒い軟こうを塗ると、あら不思議、傷が見る見るうちにふさがったのだ。
これは使えるッ!!と本日何度目か分からないひらめきを心に抱き、連中はそこで休んでいこうと決意する。
あわよくば、手術道具なんかを借りて、酒があればちょっと失敬して、ついでにかわいいおねぇちゃんもいれば、ちょっと失敬しようと思ったのだ。
さて、中に入ってみると、どっからどー見ても3世紀ほど時代を間違えた感じの連中がテーブルに陣取っている。
囚人連中はとりあえずウザイのが嫌いなので、虚勢を張ったりするのだが、この後自分たちに何が起こるのか、、このときの連中はまだ知らないのであった…。
全体的な印象として、初期作品から比べるとだいぶ映画らしくなってきたなぁと思うのが正直な感想。
特に、オープニング・クレジットなどはなかなかスタイリッシュにできている(あくまで当社比)
この点、一度ハリウッド・デビューをしている経験なのではないか。
さてストーリーのほうであるが、不気味な山小屋を発見し…という点は、王道すぎる展開。そして、山小屋の住人との攻防はハッキリ言って、新ゾンビの焼き直しである。
ただ、今回学習したなぁと思う点は、のっけから残虐描写を惜しみなく出しているところ。
そして、後半、まるでデジャ・ヴのように同じことが起こる…ということで、山場が2回訪れるということ。
さらに、マドセン医師と、敵側の女性、アリスの関係等々…まあ、いったい過去に何があったんだおい前ら?的ではあるのだが、ストーリー面でもなかなかの頑張りを見せてくれている。
しかし、今回は人体破壊描写を以前よりじっくり見せてくれなくなったな〜(あくまで当社比)。