それを勇敢と呼ぶか…

今夜放映「出口のない海
激しい戦闘シーンが売り物の作品群の中で、戦闘シーンを極力排し、人間魚雷として敵艦に突っ込んでいく若者たちのドラマを主体として描かれているので、割とおとなしめな作品に思える。
主人公がなぜ死地に赴くのか、という理由を、やけに現代風な解釈で伝えていたりという部分もあるが、当時の雰囲気はよく出ているのではないかと。
そして、主人公のあっけないラスト。
敵艦に突っ込むでもなく、敵艦に撃沈されるでもなく、訓練中の事故で海底にぶっ刺さっての最期、というのはあまりにもあっけなく、格好悪い。
が、それでいいのだ。
戦地に赴いた人が全員、敵の弾に倒れたわけではない。時にはこうした事故によって死んでいった者たちも大勢いたのだ。
死に際を変に美化していない部分が、とまっている蝶を捕まえようとして敵の弾にやられるという(あまりにも間抜けで、不条理な)「西部戦線異状なし」に通ずるものがあるように思える。
そういう意味で、戦争の不条理さというのをとてもよく表現しているのではないだろうか。