マーターズ

スタッフA(以下A)「いや〜、最近のフレンチホラーは勢いがありますな!」
スタッフB(以下B)「うむ。特にアジャ・コングだったか?の『ハイテンション』ちゅーやつから急に活気づいてきおったな。こりゃ、わがフランス怪奇恐怖映画協会としても嬉しい限りじゃ!」
スタッフC(以下C)「いえ、会長、コングではなくアレクサンドルです。それに、わが国にもこうしたスプラッタ作品は以前にも存在したのですよ。約20年ほど前になりますが」
「あぁ。確か『魔性のしたたり/屍ガールズ』とかいうゾンビ映画だな?」
「それならわしも知っとるぞ。ラストが某有名サスペンス映画のオチなやつじゃろ?」
「それだけではなく、90年代には『屋敷女』に先駆けて妊婦が登場するスプラッタもあります」
「それは初耳だな」
「わしも詳しくは知らんが、確か悪霊の子供かなんかを宿した妊婦が男を殺しまくるっちゅー映画だった気がするわい」
「しかるに、そうした作品がありながら、わが国が他のヨーロッパ圏かに後れを取ったのは、おそらく我が国の作品がインパクトに欠けるからだと思うのです!」
「確かに、イタリアにはアルジェントやフルチ、ドイツにはイッテンバッハやブットゲライトがいるしのぉ」
「そこで、我らもここでガツン!と世間に示すわけです。最近世間では『SAW』『ホステル』といった所謂拷問系と呼ばれるものが流行っております。幸い、わが国にも、他の国同様、宗教戦争侵略戦争の経験から、数々の拷問の手立てに精通してることですし、ここはひとつ拷問系!でいってみたいと思うのですッ!」
「なるほど。しかしそれでは、他の作品と変わらなくなってしまうではないか。どうやって他作品と差別化を図るんだね??」
「よくぞ聞いてくださいました。そこで我らのもう一つの持ち味を登場させるのです。いいですか?それは“哲学的なテーマの漂う美”!ジョヴォビッチの『ジャンヌ・ダルク』等でも登場したあのエッセンスを加えるのですよ」
「おおっ、そらええ考えじゃ!わし、日本の『ギニー・ピッグ』ちゅー作品が好きなんじゃがな、いや2じゃなくて1の方な。アレをいつかちゃんと大スクリーンで映像化したい思ってたんじゃ!しかしあんなもんそのまままた映画化したら映倫が許可なんぞしてくれんじゃろ?じゃけん哲学的なテーマに基づいた高尚な内容なら多少は大目に見てくれるじゃろ。よし決まった!キミ、早速手配したまえ!!」
「承知いたしましたッ!」
「そうそう、主演の女優じゃがな、『悪魔のいけにえ』のマリリン・バーンズのように体当たりで演技ができる娘を頼むぞ!!」
「承知いたしましたッ!!」

薔薇の名前

メルクのアドソ「私はアドソ。断じてアドンではない。
フランチェスコ修道会の老僧侶だ。
いや、ベネディクト会だっかた?まあ、細かいことはどうでもいい。今から私が話すのは、私がまだほんの修練士だったころの話。
そのころ私はメルクの修道院にいたのだが『広い世界を見るのだッ!!』と父上に言われ、旅に出ることになった。
その際に、私の親代りを務めてくれたのが、フランチェスコ会の托鉢修道士、バスカヴィルのウィリアムという方だ。
折から、皇帝とアヴィニョンにいる教皇は折り合いが悪く、フランチェスコ会教皇に異端呼ばわりされるので皇帝に付き、なんとかして教皇を説得したい、いや、世俗の権力を勝ち取りたいと…
早い話が、敵の敵は味方というやつだ
そして、教皇と皇帝の間を取り持つ勅使の任を仰せつかったのが、他ならぬわが師、ウィリアムだったのだ。
本当はもっと細かいのだが、こんな話で我が賢明なる読者を退屈させるわけにもいかない。
何より、いちいち語らねばならぬ私が面倒である
かくして我々は北イタリアの山岳にある修道院に赴いたわけだが、そこでは折から、世にも恐ろしことが起こりつつあった。
聞くところによると、少し前に、アデルモという名の若い細密画家の修道僧が唐から墜落死したそうなのである。
そのことが修道院外に漏れては事を荒立てるというので、院長のアッボーネっから事件の解決を依頼されたのだ。
しかし、事はこのあと、知と邪悪と恋に彩られながら、我々の思いもよらぬ方向へと進んでいくのであった…」

と、言うことで、記号論で高名なウンベルト・エーコの処女小説の映画化。
簡単にいえば、修道院内で起こる殺人事件を修道士の師弟コンビが解いていく、という至極簡単なもの。
まるで中世をそのまま持ってきたような美術や重苦しいまでの修道院内の雰囲気、そしてフリークスのような修道僧たちはどこまでも不気味。
ストーリーも、難解といわれるが、いくつかの改編を含めてタイトに纏められているのですんなり入り込める。
というか、原作は当時の教皇と皇帝の対立という史実から清貧論争、神学論争、異端論争様々な書物への言及と参照等々の事柄を修道院内での殺人事件というオブラートに包んである非常に難解なものなので、そのままの映画化は文字通り不可能。
しかし、原作つきの映画には珍しく、映画を見れば小説が理解しやすくなり、小説を読めば映画の細かいところが解るという、双方にとってプラスの面が非常に大きいという点がある。
ダ・ヴィンチ・コードの登場によって、本作とコードを比較するコメントも多くなってきたので、興味を持っている方もいるかもしれない。
しかし、ここで一つアドバイス
ダ・ヴィンチ・コードの感覚で原作を読もうとすると、挫折するぞ

水霊

ども〜、あたし戸隠響子。都内某大手新聞社に務める超やりてなの!
育児と仕事を頑張って両立させてます!
え?旦那ですって?お前次のその話題振ったら東京湾に沈めるからね…
で、なんだか最近変な事件が起こってるの。
東京には、井戸水を飲料用として使ってる地域があるんだけど、そこに住む住人たちが謎の自殺を遂げてるんだって!!
で、この前も、いかにもヤバそうな老人ホームに行ったら、なんと、利用者のおじいちゃんが“みずち”って書かれた紙握りしめて両目つぶして死んでるの!!
やったね!これで残された遺族も介護の心ぱゴホゴホ…お悔やみを申し上げます。
…と、とにかく、そんなどえらい所を見てしまったの。
で、あたし思ったわけ。この事件、“水”が関係しているんだって!!
だからね、水道局に勤めてるただの友達の岡ってやつに、水のことを調べてもらったの!
そんなときにビッグニュース!!なななんと、そのヤバい地域で地震が起きて、なんかよくわかんないけど遺跡が発見されたんだってさ!
何でも古い神社のあととかで、その中には伊邪那美命八十禍津日神と大渦津日神っていう神様が…てそんなの出てないって!?細かいことは気にしちゃダメなのよ!!
あ、そうそう、その場所、四方平っていうんだってさ。
?よもひら?
そういえば、以前杜川って大学の助教授に会いに行った時に、黄泉戸喫とか黄泉比良坂とか、わけわかんないこと聞いたことがあったかしら?
黄泉比良坂ってのは、あの世とこの世の境目なんだって。
でも、詳しいこと聞く前にそのおっさん死んじゃった。“しにみずをのむな”って書き遺してね。
まったく、ユーレイなんて名前つけてるから本物の幽霊になっちゃうのよ!!
?水・よもつひらさか??そしてよもひら??
そうか!!その四方平ってところは実は黄泉比良坂で、あの世とこの世の境目なんだわ!!そうに違いないわ!!!違うと思った奴は死んでしまえばいいんだわ!!!!!
と、あたしが華麗な推理を展開している間に、ただの知り合いの岡ってやつはいつの間にか水を飲んでたらしく、「僕の死を人類の役に立ててくれベイベー」って勝手に解剖されて死んでたのよ。
でも体からは何も出なかったみたい。
マジバカねぇただの犬死じゃないまったくぅちょっと待てコラッ!!
何も出ないってどういうこと!?原因は水じゃないの?
もうやんなっちゃった。せっかくあたしの華麗な推理を台無しにして。やめたやめ、疲れたからあたし死ぬわ
え?神社は結局何だったかって?知らないわ。
え?結局みずちってどういういみだったのかって?知らないわボケッ!!

リアル鬼ごっこ

そのとてつもない文章力と構成で世間をあっと言わせた小説の映画版。
あらすじを書くのがとてつもなく面倒なので、それは他のサイトで補完してもらうとして、簡単な感想を。
まあ、小説版では本当に内容はナイヨーなものだったが、映画化に当たり幾分かまともな設定にしてあったりする。
にしても、鬼たちの格好からして追いかけるのにものすごく不便なんじゃね?と思ったり、
日本でいちばん多い佐藤さんを完全淘汰したら、それこそ日本経済だとかに大打撃を与えるんじゃね?とか、
まあいろいろあるわけだ。
そもそも、可能性の分岐によって永遠に連なる並行世界において、一方が死んだらもう一方も死ぬっておかしくね?パラレルじゃなくね?と思ったり。
ま、そこら辺を突っ込むのは野暮ってもんだ。
これにハマったら、改訂前の小説を読むべし。

屋敷女

あ、そういえばずいぶん前に「屋敷女」を見たんだった。
と、ふと思い出しちょいとコメント書いてみる。
とはいうものの、不条理スプラッターであることには変わりなく、内容など二の次三の次。おフランス産のスプラッタはこれほどすごいのよよ言わんばかりの壮絶ぶり。
まあ、そうはいうものの、終盤までは今までのものに比べても大差ないなと思っていた。
ただ、俺が見たのはレンタル版。
画面にぼかしが入る映画なんて、初めて見たよ
「黒い太陽七三一」や「残酷猟奇地帯」、「ネクロマンティック」なども、確かぼかしは入っていなかったと思う。
…あれ?入ってたっけ??
よほど凄まじい場面らしい。が、この場面のためだけにセル版を購入するのもどーかなーと思い、未だ購入には至っていない。

世界最強のスパイ

誰を想像する?
ジェームズ・ボンド?イーサン・ハント?
いやいや、デレク・フリント以外にいない!!
空手、フェンシングの先生で、ボリショイバレエでも教えてて、頭は切れて、女にモテて、美食家で、博識で、ヨガの心得でもって自由に“死ねる”無敵ぶり。
そんなわれらがフリントが活躍する、電撃フリントGO!GO!作戦。その続編にあたるのが電撃フリントアタック作戦。
まあ、ぶっちゃけ、前作ほどのリアリティもなく、盛り上がりにも欠ける。ずいぶんと散漫な様子。
男尊女卑の社会に嫌気のさした秘密結社“美顔クラブ”と、アメリカ、ソ連を巻き込んでの大事件。
しかし、どうしても不完全燃焼気味。
まあ、オースティンパワーズの元ネタとして、さらにはあまたの数ある007のパロディ作品の中では最も面白いので、興味のある方はぜひ。
1作目についてはお勧めなんだけどね。

キル・エビル

なかなか素晴らしいタイトルである。
残念なのが、これが邦題で原題が違うということ。
以前、イヴィル・エドという作品があった。
あちらさんは、原題もEvil Ed。何を隠そう死霊のはらわた(Evil Dead)をもじったものである。
作品の出来自体はそれほどでもなかったが、題名センスはなかなかだった。
で、こちらさん。キル・ビルでビルを演じたデビッド・キャラダインがでてるという理由のみでこんなものになってしまったが、要はFBIの特別捜査官が悪霊と闘う…とかいうものである。
ま、しょーじき詳しい内容が思い出せないだけなんだけど、題名に偽りありというか、すべてがインチキくさいので、見つけたらだまされないように。